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 第1回 「医療の質と福祉サービスの質・・・安全性の重要性」
 第2回 「評価手法の改善に視点」
 第3回 「少子化」
 第4回 「利用者による介護サービス(事業者)の適切な選択に資する情報開示の標準化について」
 第5回 「<顧客の所有物>について」
 第6回 「1件の評価を終えて」
 第7回 「介護サービスの《設計・開発》について
第7回 介護サービスの《設計・開発》について

●  “ISO9001品質マネジメントシステム”を福祉サービスの分野で構築する場合に、規格要求事項のすべてに適合させるため、いくつかの条項で規格を適 切に読み替えて適用する必要がでてきます。それは、この規格が製品を製造する組織とサービスを提供する組織の両方に適用することを目指してはいますが、も ともと前者、すなわち製品を製造する組織を適用対象として制定されたことから、サービスを提供する組織ではなじまない要求事項があるためです。その典型的 な一例が、『7.3 設計・開発』です。

 “ISO9000:2000品質マネジメントシステム−基本と用語”のなかに、設計・開発はつぎのように定義されています。

 『3.4.4 設計・開発(design and development)
要求事項(3.1.2)を、,製品(3.4.2)、プロセス(3.4.1)又はシステム(3.2.1)の、規定された特性(3.5.1)又は仕様書(3.7.3)に変換する一連のプロセス(3.4.1)。
参考1."設計"及び"開発"は、あるときは同じ意味で使われ、あるときには設計・開発の全体プロセス の異なる段階を定義するために使われる。
2.設計・開発されるものの性格を示すために、修飾語が用いられることがある。(例製品の設計・開発,プロセスの設計・開発)
3."製品の設計・開発"とは、ある特定の製品に対する要求事項を満たすような、その製品を実現する仕様を確定する一連の活動を指す。仕様を確定する活動の中には、製品を試作するなどして現実に製品を実現することが含まれることもある。
なお、製品の特徴によっては、製品を実現する仕様の中に、製造仕様又はサービス提供の方法の仕様が含まれることもある。
』 (注)上記の参考3.は、原国際規格にはない事項で、日本工業規格(JIS)とされた時に付け加えられた手引きです。

●  差し当たり、福祉サービス、なかでも高齢者に対す介護サービスの分野でこの定義に近いプロセスは、“介護サービス計画プロセス”が設計・開発に当るので はないかと思われます。すなわち、介護サービスに対する利用者の要望を含む要求事項を満たす、そのような介護サービスの仕様(介護サービスの実施項目、提 供方法・手順など)を確定する仕事・・・例えば、施設サービス計画、ケアプランの立案・作成業務・・・が、設計・開発であると考えられます。

 これに対して、次のような疑問がだされています。

  『一部のサービスのようにプロセスが製品である場合、特に基礎となる実現方法(プロセス)が確立していて、顧客の要求に応じて多少のカスタマイズはあるも の、定まった手順どおりに実施すればよい場合、果たして製品の設計・開発は行われていると考えるべきだろうか。これはケース・バイ・ケースで考えることに なろう。』 (「ISO9000要求事項及び用語の解説」52p.より)

● それでは、『7.3 設計・開発』の要求事項を見てみよう。ちょっと長文ですが、一読してください。

『7.3 設計・開発 Design and development

7.3.1 設計・開発の計画 Design and development planning

組織は、製品の設計・開発の計画を策定し、管理すること。

設計・開発の計画において、組織は次の事項を明確にすること。

a)設計・開発の段階
b)設計・開発の各段階に適したレビュー、検証及び妥当性確認
c)設計・開発に関する責任及び権限

組織は、効果的なコミュニケーションと責任の明確な割当てとを確実にするために、設計・開発に関与するグループ間のインターフェースを運営管理すること。

設計・開発の進行に応じて、策定した計画を適宜更新すること。

7.3.2 設計・開発へのインプット Design and development inputs

製品要求事項に関連するインプットを明確にし、記録を維持すること(4.2.4参照)。インプットには次の事項を含めること。

a)機能及び性能に関する要求事項
b)適用される法令・規制要求事項
c)適用可能な場合は、以前の類似した設計から得られた情報
d)設計・開発に不可欠なその他の要求事項

これらのインプットについては、その適切性をレビューすること。要求事項は、漏れがなく、あいまい(曖昧)ではなく、かつ、相反することがないこと。
7.3.3 設計・開発からのアウトプット Design and development outputs

設計・開発プロセスからのアウトプットは、設計・開発へのインプットと対比した検証ができるような様式で提示されること。また、次の段階に進める前に、承認を受けること。

設計・開発からのアウトプットは次の状態であること。

a)設計・開発へのインプットで与えられた要求事項を満たす。
b)購買、製造及びサービス提供に対して適切な情報を提供する。
c)製品の合否判定基準を含むか又はそれを参照している。
d)安全な使用及び適正な使用に不可欠な製品の特性を明確にする。

7.3.4 設計・開発のレビュー Design and development review

設計・開発の適切な段階において、次の事項を目的として、計画されたとおりに(7.3.1参照)体系的なレビューを行うこと。

a)設計・開発の結果が要求事項を満たせるかどうかを評価する。
b)問題を明確にし、必要な処置を提案する。

レビューの参加者として、レビューの対象となっている設計・開発段階に関連する部門の代表が含まれていること。このレビューの結果の記録及び必要な処置があればその記録を維持すること(4.2.4参照)。

7.3.5 設計・開発の検証 Design and development verification

設 計・開発からのアウトプットが、設計・開発へのインプットで与えられている要求事項を満たしていることを確実にするために、計画されたとおりに (7.3.1参照)検証を実施すること。この検証の結果の記録及び必要な処置があればその記録を維持すること(4.2.4参照)。

7.3.6 設計・開発の妥当性確認 Design and development validation

結 果として得られる製品が、指定された用途又は意図された用途に応じた要求事項を満たし得ることを確実にするために、計画した方法(7.3.1参照)に従っ て、設計・開発の妥当性確認を実施すること。実行可能な場合にはいつでも、製品の引渡し又は提供の前に、妥当性確認を完了すること。妥当性確認の結果の記 録及び必要な処置があればその記録を維持すること(4.2.4参照)。

7.3.7 設計・開発の変更管理 Control of design and development changes

設 計・開発の変更を明確にし、記録を維持すること。変更に対して、レビュー、検証及び妥当性確認を適宜行い、変更を実施する前に承認後すること。設計・開発 の変更のレビューには、その変更が、製品を構成する要素及び既に引き渡されている製品に及ぼす影響の評価を含めること。

変更のレビューの結果の記録及び必要な処置があればその記録を維持すること(4.2.4参照)。

 参考 "変更のレビュー"とは、変更に対して適宜行われたレビュー、検証及び妥当性確認のことである。』

●   設計・開発の計画から変更管理まで必要な手順及び維持すべき記録が詳細に規定されていることが理解されたと思います。実は、この詳しさのゆえに、事実上製 品やサービスの設計・開発といえる活動を行っている組織によって『7.3 設計・開発』の適用が除外され、同活動を『7.1 製造及びサービス提供の計 画』としている現実が見られます。

 介護サービスの分野で、先に述べたように“施設サービス計画、ケアプ ランの立案・作成業務”に適用すると、現実の場面ではこれまでの立案・作成業務の内容や進め方を見直す必要が出てきます。なかでも、ケアカンファレンスの 位置づけが、レビューの場であると同時に、検証と妥当性確認の場として機能することが求められるでしょう。また、記録の維持の見地から、従来のフォームを 修正する必要がありそうです。

 それでは、こうした見直しや修正を行うことのメリット、利益・・・利用者にとって、事業者にとって、従事者にとって・・・はあるのでしょうか。先に引用した参考図書は、続いてつぎのように述べています。

 『要求を満たすために、要求から実現仕様への自明でない変換がどれほどあるかに依存する。さらにいうなら、顧客の信頼感を得るために、設計・開発とするのがよいかどうかを考えるべきである。』 (「ISO9000要求事項及び用語の解説」52p.より)

 利用者、家族、そして地域のニーズと期待を超えることが究極の目標であるとしても、利用者本位を介護サービスの個別化を通じて達成するとすれば、答えは自明のことと考える。

“ISO9001品質マネジメントシステム”の導入・構築のメリットはこんなところにも見出すことができる。(2004.9.21HK記)

 


以上、コラム
でした



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『精神障害者ホームヘルパー養成研修〔第6回〕』を、5月13日(土)、20日(土)、27日(土)に開催すべく東京都知事へ指定申請中です。


  
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